活用例
非人間霊長目動物のモデルおよびシステム研究に使用されるモーションキャプチャシステムについて
海南大学生物医学工学部
モーションキャプチャ、歩行解析、BCI
マカクの歩行

大脳皮質における運動制御の神経メカニズムは、神経科学研究の焦点となっているが、現在の研究は不十分と言っても過言ではない。「筋肉活動が運動皮質をエンコードしているのか、それとも運動パラメーターか?」、「どのようにエンコードしているのか?」といった問題について、運動皮質が身体の運動制御におけてどのような役割をしているのかという議論は、運動皮質の発見から100年以上たっても続いており、共通の見解に至ることはない。

歩行は、人間の主要な運動であり、基本的な日常生活能力の1つとでも言える。脳卒中、パーキンソン病、多発性硬化症など多様な神経系の疾患患者には、歩行異常が多く見られる。

近年、脳機インターフェイス(BCI)は広く注目を集めているなか、麻痺患者の運動機能、触覚、および文字入力機能の回復を支援する手段となっている(図1/2)。人間に活用する前に、厳密な臨床的BCI確認と検証(V&V)が必要である。非人間霊長目動物と人間の類似性が故に、通常神経科学研究(BCIの確認と検証を含む)において、これが広く使われている動物モデルと見なされている。

触覚でロボットアームを制御する

手書き文字を想像して入力する

図1 瘫痪患者を支援するための埋込み型BCI:(a) 触覚でロボットアームを制御する;(b) 手書き文字を想像して入力する

実験用ブタに脳機インターフェイスを埋め込み、マーカーでモーションキャプチャシステムを貼り付ける

動力学データ、皮質および脊髄の神経細胞のデータを同期に採集する

図2 Neuralinkの歩行神経学の研究(a)実験用ブタに脳機インターフェイスを埋め込み、マーカーでモーションキャプチャシステムを貼り付ける(b)動力学データ、皮質および脊髄の神経細胞のデータを同期に採集する

しかし、技術制限により、過去の動物BCI研究では、主に有線神経記録システムで神経電生理データを取得していた。非人間霊長目研究向けの無線神経記録システム(埋め込み式BCI)は、マカクの歩行の神経学研究を可能にしたが、信号品質、データ通信量、送信距離、デバイスサイズ、電力制限など多くの技術課題をも生じた。

さらに、BCIや歩行における高精度のモーションキャプチャシステムは非常に重要である。しかし、現在の研究は主に画像処理に基づいたモーションキャプチャシステムに依存しているため、その精度は十分ではない。

運動時運動皮質の役割を究明することは、過去数十年主な研究の焦点であった。現在でも未解明なことがあり、深まる研究が必要である。運動の神経制御については、2つ主な視点がある(Shenoy et al.、2013)。一方で、運動皮質が末梢効果器の位置など、より高次の運動パラメーターをコーディングしていると考える人が多く。もう一方、運動皮質は筋肉運動をコーディングしていると見なす人も少なくない。NHPの腕の運動では、運動方向に密接に関連する一群の皮質ニューロンが発見された(Georgopoulos et al.、1986)。Wessberg et al.(2000)がこの発見を裏付け、皮質ニューロンで義肢を制御した。その後、運動機能の解読やモデリング、神経活動の記録との関係を明かすため、数十の方法が提案され、線形Wienerフィルター(Wessberg et al.、2000; Carmena et al.、2003)、主成分分析(PCA、Churchland et al.、2012)、カルマンフィルター(Wu et al.、2002; Li et al.、2009)や長短期記憶ニューラルネットワーク(LSTM、再帰型ニューラルネットワークの一種、Tseng et al.、2019; Glaser et al.、2020)があった。

ただし、歩行運動は自律性という点で腕の運動とは異なる。研究によると、歩行運動と腕の伸び運動における運動皮質の貢献は異なることが発見された(Xing et al.、2019)。Drew(1988)が、猫が四足歩行をする際に、運動皮質ニューロンが屈筋を調節することを発見した。2017年、実験用マウスモデルの研究では、トレッドミルでの歩行中における運動皮質の出力は手の伸び運動とは大きく異なることが明らかになった(Miri et al.、2017)。しかし、Yakovenko and Drew(2015)は、猫の運動皮質が伸展運動と歩行運動で似たような役割を果たすことを示唆しています。これら相反する結論が、NHPモデルに基づく証拠の不足により、歩行運動における運動皮質の役割を理解することに問題があるのを示唆した。

運動皮質が歩行中果たす役割は未だに不明であり、詳細な研究が必要である。そのため、BCIと歩行研究には、神経信号と運動信号を同期、高速、高精度に取得する必要がある。そのため、海南大学の「脳機芯片神経工学」チームは、高精度の赤外線運動キャプチャシステム(NOKOV、Mars 4H)と無線インプラントBCIを使用して、自由に動くマカクの歩行実験プラットフォームを構築した。

自由運動マカク歩態実験プラットフォーム

図3 自由運動マカク歩態実験プラットフォーム

自由に動くマカク歩行実験プラットフォームは、赤外線スポーツキャプチャシステム、無線神経記録システム、無線EMGs収集システム、三次元フォースプレートで構成される。皮質が規制されているコーディング情報のタイプを研究するために使用できる。

参考文献

Fengyan Liang, Shanshan Yu, Siqi Pang, Xiao Wang, Jing Jie, Fei Gao, Zhenhua Song, Binbin Li, Wei-Hsin Liao and Ming Yin, Non-human primate models and systems for gait and neurophysiological analysis, Frontiers in Neuroscience, Volume 17–2023,DOI:10.3389/fnins.2023.1141567

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